モルモン教ってどんな宗教?@山形浩生OHP

くさなぎくん@ブラザー

 今Terry Tempest WilliamsのRefuge An Unnatural History of Family and Placeを読んでいる関係でモルモン教に関して調べてみた。
 この小説の舞台は、アメリカはユタ州、グレートソルトレイクの周辺です。数年前にオリンピックも行われた、ソルトレイクシティーとその周囲に広がる森林です。この街は、宗教的な迫害から逃れ移住してきたモルモン教徒によって建設されました。人が自然に浮くほど濃い塩水湖と、その周りに広がる荒涼とした砂漠のおかげで、この土地を求める人々がいなかったからです。彼らはこの地で、ユートピアを築こうとしました。その宗教的な出自ゆえに、お酒に対して非常に厳しかったりします。
 モルモン教とは、正式には末日聖徒イエスキリスト教会といい、キリスト教の一派とされている。たまにヘルメットを被り自転車に乗った白人男性二人組みを見かけることがあると思いますが、彼らはモルモン教の伝道師です。ケント・デリカットケント・ギルバートも元伝道師です。彼らの宗教的特長は、新旧約聖書に加え「径」という第三の経典の存在にあります。この本に書かれている内容は、

紀元前数世紀、ユダヤ人の一部がアメリカにわたり、数々の啓示や奇跡を体験した、というのがその骨子である。モルモン教の教義にしたがえば、アメリカインディアンたちはユダヤ人の末裔であり(ただし今のインディアンたちがそうだとは、かれらは主張しない。それどころか、なにやらすさまじく人種差別的な議論が展開される)、アメリカインディアンの遺跡などから発見される各種の高度な工芸品は、もちろん旧大陸から伝えられた技術によって初めて可能となったものと説明され、こうした遺物と古代オリエント文明の遺物との様式的な相似を指摘するのが、モルモン考古学の重要な作業となっている。
http://www.post1.com/home/hiyori13/books/mormons.html

というもの。さらにこれをモルモン教徒の指導者ジョセフ・スミス達が受け継いだのが始まりだそうです。
 彼ら宗教的指導者(聖人)の権威はイエス・キリストの啓示によって保障されます。それがどのように適用されるかと言うと、

この聖人たちは、五−六百年後に地球の反対側でイエス・キリストが誕生することを知っている。そして、かれがどこで何をして、どのような発言をするかも、微に入り細をうがって熟知している。あらゆる議論の根拠は、その数世紀後に行われるはずのキリストの発言である行動なのである。信仰の薄い不心得者が「だってそんな、地球の裏で起こるずっと先の話なんかホントかどうかわからないじゃない」と論理的できわめてもっともな(と不信心者たるわれわれには思える)疑問を出すと、「キリストは今から五百年後にどこそこで『信仰薄き者はナントカである』とおっしゃるのだ!」と聖人が答え、敵は論破されて天罰が下る、というのが一般的な話の進め方である。*1

と、なんとも納得しがたい論理展開。
 さてそんな感じで、今日はモルモン教の中心地、ソルトレイクシティーと、彼らの教義に関してでした。

*1:引用は同上