高額納税者公示、いわゆる「長者番付」に関して

 毎年この時期に発表されると、マスコミで大きく取り上げられる高額納税者公示です。色々興味をかきたてられるらしく、モーニング娘。内部のランキング神奈川県の高額納税者など各方面様々な話題になっているようです。
 さて。それでは、なぜ本来個人的な情報である収入、納税額、氏名、おおよその住所が毎年毎年公表されるのでしょうか?毎日新聞では、その目的がこの様に解説されています。

高額納税者の公示 ◆
税務署に高額納税者の氏名、住所、所得税額を掲示して、第三者のチェックにより、適切な申告を促す制度。1950年に始まった。公示対象の基準になる所得税1000万円は、給与や事業などの所得では約3400万円▽株譲渡では約5000万円▽土地譲渡ではケースによって違うが、3000万円から5000万円――に当たる。
http://www.mainichi.co.jp/news/kotoba/ka/20010516_02.html

このように、高額納税者の個人情報を公表する目的は、一定以上の収入を得る人の税金納付額の妥当性を、収入と納税額の公表によってチェックしていると言えます。つまり、このように公表された情報から、本来の収入との差異(脱税)を指摘する、または密告することを期待している制度なのです。しかし、この個人情報を公表することに問題は無いのでしょうか?
 このような公示の問題点は、プライバシーの保護がまず第一にあります。私人に過ぎない人の情報がここまで衆目にさらされる必要性はあるのか。*1さらに、高額納税者を狙って行われる寄付の強要や、犯罪の情報収集に使われるなどの問題もあるようです。その為、現在この制度は廃止検討がなされてういるようです。
 四月一日以降に修正申告をする「公示逃れ」などの問題もあり、本来の目的に効果が望めないこの制度、今後どうなっていくのでしょう。

*1:例えばこのサイトでは、「長者番付」がデータベース化されている。